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所属:生物資源学部 地域資源開発学科 職位:講師 学位:博士(工学)
研究室:県立広島大学庄原キャンパス4404室
E-mail:yu-tanigaki@(@の後にを付けて送信ください)
研究内容:https://researchmap.jp/yu-tanigaki
生物の生理現象は体内時計により制御されています。これは植物も同様で、特に成長過程において体内時計のリズムと外部環境のリズムの同期が重要になります。私はこの植物体内時計を外部から調整し生育を最適化する研究を行っています。
植物体内時計の簡易計測手法の開発、遺伝子発現の揺らぎがもつ生理学的意義の解明、植物の生長変化量の変動解析、農業用環境計測システムの開発、アクアポニックス
生物は体内時計という約24時間の周期と外環境の周期とを密接に連携させ生きています。特に自ら動けない植物において、急激な外環境 (高温、低温など)の変動にも対応することは極めて重要な生理応答です。作物を生産する場合、全ての個体が順調に生育することはなく、いくつかの個体は、生育が悪くなり収量が少なくなります。この収量の減少は、農業において大きな問題です。この原因の1つに、体内時計と外環境変動をうまく合わせることができないというものがあります。そこで私の研究では、植物の体内時計の解析をメインテーマとし、体内時計を制御し生育を改善させることを目指しています。
もう一つ大きな研究テーマとして、農業の収入安定化に関わる技術開発を行っています。これは、安価な環境計測システムを構築することにより、生育管理に必要なコストを削減することが目標です。また、次世代農業である植物工場に代表される水耕栽培において、多量に使われる養液で魚を育てるアクアポニックスも行っています。
?植物体内時計
生物は体内時計を用い、様々な生理現象を制御しています。この体内時計は通常、外環境の周期に呼応し一定のリズムを刻んでいますが、ズレることが多々あります。このズレは農業において、作物の生育の均一性、収量に影響を及ぼします。私の研究室では体内時計の制御を目指し、小型PCなどの安価機器を用いた生体情報計測、取得画像からの体内時計計測、制御方法の開発を行っています。
?アクアポニックス
農業は露地で行うものばかりではなく、ハウスや温室などの施設で行うものもあります。その中の一つに植物工場があります。植物工場は高効率で安定して作物を通年で生産できますが、運営コストが高いという問題もあります。そこで、新たな収益確保の方法として、魚の排泄物を利用して作物を生産するアクアポニックスという手法があります。私の研究室では、このアクアポニックスにナマズを用い、作物生産に加えて、備北地域での新たな名物の創造に取り組んでいます。
どの研究においても、データ解析がついてまわります。ビックデータにあたるデータも解析することから、研究室の学生はLinuxOSの扱いから始めプログラミングなどの初めてのことにチャレンジしています。
農業において作物がもつ情報をいかに掴むかが重要になります。その方法はとして多くの農業センサなどが開発されていますが、そのデータを生理学的に正しく理解することができなければ、無駄な投資になります。例えば、一部の応答経路での遺伝子の発現変動にはもちろん意味がありますが、それは全遺伝子のネットワーク構造を考慮しないとミスリードになります。今、植物が何を感じて、何を求めているのか、または、今まで経験で行ってきていたことは正しいのかなどは、作物が答えをもっています。